こんにちは。サステナ社会作り部のみゆきです。
今回は1/11に伺った大垣にある艶金さん工場見学のご報告です。

艶金さんはファッション衣料の生地の染色整理加工、つまり、布を染める加工や風合いを整える(起毛や撥水など)加工を行う会社です。

大垣駅から車で10分ほど走ると「ツヤキン」と書かれた煙突と外壁が見えてきましたよ。ワクワクしてきました!

まずは工場見学の前に社長の墨さんからアパレル業界の視点で環境問題についてのお話を伺いました。

この時にご紹介いただいた環境省のサステナブルファッションのページがとってもわかりやすかったのでリンクをご紹介しておきますね。

https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/index.html

 

アパレルを取りまく問題も様々あり深刻な状態です。
しかし最近は大手企業が在庫廃棄量を公表して廃棄ゼロを目指していたり、サステナビリティプランを公表したりと、少しずつ変化の兆しがあるとのお話に希望を感じました。

小学校で授業をされることもあるそうです。
「先日は小学校一年生の子たちに。まだ難しいかなと思いながら話をしたんですが反応があったんですよ。こういう教育をベースとして育った子どもたちが作る社会はきっと・・・ね。」墨さんが優しくお話された言葉が印象に残りました。

 

さて、アパレル業界では生地を生産する工程でより多くのエネルギーを必要とするため縫製以前の工程が環境負荷低減には重要になるようです。
いち早く環境問題に取り組んできた艶金さんでは具体的にどんな取り組みをされているのでしょうか?

いよいよ工場内へ入っていきます!

 

工場で最初に目に飛び込んできたのは大量の白い反物の山。

「このまま在庫として使われないで廃棄になってしまうものもあります。」
え??なんとも表現しがたい居心地の悪さを感じました。洋服が売れ残るとかではなくて、反物の段階でも大量に廃棄が出てしまうんですね。
廃棄となれば大半は焼却、一部はウエスなどに使用されるそうです。

艶金さんでは廃棄されるはずだった生地を使ったアップサイクルブランド「リトリコ」も立ち上げています。
そりゃ何かに利用しなきゃって思いますよね。これが廃棄だなんて。

https://retricot-jp.com/

 

入口はショッキングでしたが、ここからが本題。染色の工程です。

くるくると巻かれた反物で入荷した生地は、まずはほどいて染色機にかけられる長さに縫い合わせてから染色機にかけられます。
ひらひらと揺れながら生地がほどかれてたたまれていく様子はなんだか楽しい。

次はメインの染色機。
生地を染色するには大量の水が必要ですが、染色の機械を従来型(画像左上)から省エネルギー型の染色機に替えることで使用する水量を半分に削減できたそうです。
100kgあたり20倍の水(1日あたり4000tの水)が必要だったものが今は半分になったと聞くと、その削減量はものすごい量だとわかります。

 

染料は主に化学染料です。
ですが、ここでは食品加工や植物加工後に出た残渣を原料にした「のこり染」にも取り組んでいます。

https://kurakin-jp.com/

自然の素材で、それも他企業で不要廃棄になっていたものを染料としているところにいろんな可能性を感じます。
ブルーベリー、あんこ、栗、パッションフルーツ、カカオハスク(カカオ豆の種皮)、桜、菊、などなど。桜は花びらではなく枝からピンクの染料が取れることに驚きました。

染色機で使われる水は60~130度まで温度を上げる必要があるためたくさんのエネルギーが必要です。そのエネルギー源にはバイオマスボイラーが使われていました。石油やガスではなくバイオチップ(木くず)を燃料にするカーボンニュートラルなエネルギーです。
ここでは国内の解体家屋のものなどを利用しているそうです。

広い倉庫に山積みのバイオチップがつまれていたのですが、なんと10tトラックで1日に5回もチップを運んでくるそうです。
バイオマスを取り入れたきっかけはオイルショックの経験からだったそうですが、結果的に環境への負担も大きく軽減されました。

染色に使われた後の水は真っ黒。様々な薬品も含まれているため自社の排水処理施設できれいにしてから放流されます。

染色された生地はその後脱水、乾燥、検反(検品)され、染めむらなどの不具合で出荷できないものには赤い布がかけられて置かれていました。染め直したり廃棄になってしまうものがここでも出てしまいます。

「高品質であることはもちろん大切です。でもそれはちょっとしたことで規格外とされてしまうことでもあります。」
ジャパンクオリティ。誇らしいことと思っていましたがこういった側面もあるんですね。

最後に整理加工(撥水や起毛など)がされて各メーカーさんや縫製工場などに出荷されます。お疲れさまでした!

 

が、さらにさらに、工場の外でも環境への取り組みはまだまだありました。

屋根付きの駐車場はよく見るとその屋根はソーラーパネル。
事務所内などの電力として使われるそうです。

貯水槽の隣や建物横のスペースに畑を発見。食堂では段ボールコンポストの取り組みも。社員食堂で出る生ごみをたい肥化して敷地内の畑で使用し、畑でとれた野菜は食堂で使用。へちまは乾燥させてへちまたわしに。これぞ循環!

隅から隅まで見せていただいていろいろと質問もさせていただいたのですが、本当に環境にまっすぐに取り組まれているのを感じました。
こんなふうに思いのある会社の製品を応援したいですね。
実は今回の見学メンバーがすでにのこり染の製品(コンバース)を身に着けて参加していました。

よもぎ色。かわいい!

最後にのこり染めの生地に絵をかいてみつろうラップも作らせていただきましたよ。

丁寧に案内してくださった社長の墨さん、中山さん、子池さん、社員のみなさん、ありがとうございました!

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